ペットが亡くなったとき、飼い主さんにできることは天国に無事見送ってあげることです。とはいえ、亡くなった直後はショックで何も手につかず、何も考えられないかもしれません。
冷静な判断もできなくなる恐れがあります。「縁起でもない!」と思うかもしれませんが、ペットが元気なうちから準備しておくと、いざというとき慌てずにすみます。
今回の記事はペット葬儀社の選び方と費用相場を紹介していきます。(執筆者:伊藤悦子)
●旅立つペットを感謝の気持ちで見送ってあげたい
●ペットの葬儀・供養の費用相場を知りたい
●ペット葬儀の種類や見送り方を知りたい
●どんな火葬・葬儀業者を選べばいいか心配
そんな方に向けた内容です。
後悔しないためにペット葬儀社のことを知っておく
ペットが亡くなったら「火葬・土葬」のどちらかを選択する形になります。下図のような流れとなりますが、火葬(葬儀社に依頼)を選択される方が多いのでないでしょうか。
しかしいざそのときがきたら、よく調べる余裕もなく目にとまったペット葬儀社に頼んでしまう可能性もあります。
その結果、
「思うような葬儀ができなかった」
「費用に納得がいかない」
このような後悔やトラブルが生じてしまうことも・・・
家族同然に暮らしてきたペットが亡くなると、人間と同じように「火葬・埋葬」を行い、葬儀をすることが多くなっています。需要が急増していることもあり、ペット葬儀社には悪徳業者が存在することも事実です。
トラブルとしてよくありがちなのが以下のようなことです。
「きちんと火葬してもらえなかった」
「遺骨をぞんざいに扱われた」
「費用が提示額より高額になっていた」
トラブルを回避してペットを無事に天国へ送るためにも、ペットが元気なうちからペット葬儀社について知っておくことは重要です。まずはペットが亡くなったときどうしてあげたいのか?そして費用はどのくらいかけるのか?考えてみましょう。
ペット葬儀の種類や方法
ペット葬儀の種類や方法は意外と多く、選ぶのも大変です。どのような方法があるのかをチェックして、予算や希望と照らし合わせてみましょう。
元気なペットといると「葬儀のことなど想像したくない」「まだ考えたくない」と思うのは当然です。しかし、ペットの寿命は人に比べれてずっと短く、ほとんどの場は飼い主さんが看取ることになります。
「一般社団法人ペットフード協会」の2017年調査によると、犬の平均寿命は14.19歳、室内飼いの猫が16.25歳、外に出る猫が13.83歳です。
(参考資料:「平成29年(2017年)全国犬猫飼育実態調査結果」)
うさぎは5.6年、長生きの子では10歳です。家族でもあるペットだからこそ最期までしっかり見守り、飼い主さんの手で天国に送ってあげたいものです。
最近は、昆虫の葬儀をしてくれるペット葬儀会社もあります。昆虫も大切なペット。気持ちに区切りをつけたいときは問い合わせてみてください。
火葬を行う前にペットの葬儀をする
自分のペットをかわいがった家族はもちろん、よく遊んでくれた友達も呼んで葬儀をすることもオススメです。
犬の場合は特に散歩仲間がいらっしゃるのではないでしょうか。エキゾチックアニマルなら、飼い方などを相談し合った仲間にも声をかけてみましょう。
一緒に思い出を語り合って悲しみ、そして励ましてもらうことで気持ちに区切りもつきやすくなります。
自宅で見送ってあげる方法
ペットの遺体を安置したら「好きだったフード・お花・お線香」を用意してください。そして「家族・友達・飼い主仲間たち」とペットの思い出を語りあう時間を作ります。
自宅なら自分で好きなように葬儀ができるので気が楽です。ペット葬儀社のプランによっては自宅に祭壇を用意してくれるところもあります。
ペット葬儀社やペット霊園で行う方法
「セレモニーホール・お寺の本堂」での葬儀では、僧侶に読経してもらい、祭壇も用意してもらうことができます。
本格的に葬儀をしてから火葬をしてあげたいけど、「自宅はスペースがない」「ほかのペットがいる」「小さなお子さんがいる」。こういった場合に利用すると便利です。
家族だけ、または友達や飼い主仲間に来てもらうことも可能です。葬儀といっても人間の葬儀ほどマナーに厳しくないので、派手でなければ平服でも大丈夫です。気楽に来ていただきましょう。
自宅の庭に土葬する場合は制約が多い
「ペットを火葬したくない」「思い出がたくさんある家の庭に埋めてあげたい」
という方もいらっしゃいます。ご自身や家族が所有する土地で、将来売ったり引っ越したりする予定がないのなら埋めることは可能です。
注意点
ペットの遺体は「一般廃棄物」にあたることを覚えておいてください。そのため、借家の方は他人の土地なので不可です。もちろんペットが好きな場所だったとしても、「公園・浜辺・河原」に埋めることも当然ダメです。
自宅で埋葬するなら穴は深く掘る
自宅の庭に埋める穴が浅すぎると「蠅など虫がたかる」「動物に荒らされる」「大雨で遺体が露出する」などの恐れがあります。
また、臭いが周辺に漂う心配もあります。大切な遺体が悲惨なことにならないよう気をつけてください。
遺体をビニールに包むと土に還りません。できればそのまま埋めてあげてください。埋葬した場所がわかるように「お墓を建てたりお花を植えたり」してあげましょう。
火葬するスタイルは大きくわけて5パターン
最近はペットも火葬が一般的になっています。火葬の方法はさまざまです。ご自分のライフスタイルや考えに合った方法を見つけてください。
例えば「自家用車がない」「他にたくさんペットがいる」「小さいお子さんがいる」など、ペット葬儀社まで行くのが難しい方。家族中で火葬にも立ち合いたい方。
状況や思いは様々です。火葬のスタイルにどれが正解というのはありません。
1.自治体に依頼して火葬する
自治体によっては亡くなったペットを引き取り火葬してもらうことができます。
例えば町田市では「合同火葬・合同埋葬」といって他のペットたちと一緒に火葬・埋葬します。1体につき2500円程度の費用が必要となり、遺骨を返却してもらうことはできません。
横浜市では個別火葬と合同火葬の2種類から選ぶことができます。個別火葬では遺骨を骨壺に納めて持ち帰ることができます。火葬費用は体重によって異なり、1㎏未満で10000円となっています。
合同火葬では町田市と同じく返骨はありません。自治体での火葬がご希望なら「お住まいの自治体で火葬をしてくれるか」「費用はいくらか」などを調べてみてください。
2.ペット葬儀社の訪問・移動火葬車で火葬する
火葬できる設備がついた移動火葬車が家まで来てくれます。自宅の駐車場や家の前で火葬してもらうことができます。
「臭い・煙」はほとんどないといわれていますが、気になる方は少し離れた場所でお願いすることも可能です。
24時間対応してくれることがほとんどです。遺骨は返却してくれるほか、ほかのペットとともに埋葬してもらう方法もあります。
3.ペット葬儀社で合同火葬してもらう
自分のペット1匹だけではなく、他のペットたちと一緒に火葬してもらう方法です。費用は安くなることが多く、リーズナブルです。
注意点
合同火葬なので遺骨を返してもらうことはできません。動物霊園などで合同埋葬されます。
自分の手元に遺骨が返ってきませんが、「他のペットたちがいるので寂しくない」という方に向いているかもしれません。
4.ペット葬儀社にお任せして個別火葬してもらう
自分のペットだけを火葬してもらう方法です。火葬後にお骨を骨壺に納めるのもお願いできます。
ペット葬儀社に自分で遺体を持ち込むか、ペット葬儀社に引き取りに来てもらうことも可能です。費用が変わる場合があるので、よく確認してください。
5.ペット葬儀社で個別火葬し、飼い主さんも立ち会って収骨する
火葬に立ち会うと、お骨を飼い主さんが自分で骨壺に納めることができます。自分の手でお骨を拾ってあげたい方に向いている方法です。
人間の火葬に近いスタイルなので、費用はやや高めです。ペットが亡くなってからお骨になるまで、しっかり見届けて骨壺に納めることができるのが特徴です。
骨を見たくない方にはおすすめできません。遺体については、自分で持ち込むか引きとってもらうかどちらも可能です。
遺骨は埋葬しても自分の家に置いてもOK
火葬したあとの遺骨の埋葬方法についても考えておきましょう。骨壺に納めて「家の中に安置する方法・動物霊園・納骨堂に納める方法」があります。
骨壺を置く場所がないけど、「ずっとそばにいてほしい」という場合は、骨をパウダーにしてキーホルダーやペンダントに入れて置けるグッズも検討してみてはいかがでしょうか。
他にもペット用仏壇、写真立てなどメモリアルグッズもあります。自分で絵をかいたり、アルバムを作ったりする方もいます。
動物霊園のお墓に納骨する
四十九日を過ぎたら納骨を考える時期です。人間のように墓地や霊園に納骨するスタイルが多いかもしれません
他のペットたちと「一緒のお墓に入るか」「個別のお墓に入るか」選べます。費用はしっかり確認しておきましょう。
「合同納骨・個別納骨」のどちらでも「納骨料・年間の管理費」がかかります。個別の場合は、さらに墓石代も必要です。「回忌のご供養・お盆やお彼岸・月齢法要」にはお坊さんが供養をしてくれます。
動物霊園の納骨堂に安置する
納骨堂は主に屋内に設置された遺骨を納めるスペースです。ロッカーように仕切られた棚を1つ契約して、骨壺に入れたペットの遺骨を安置します。
お花や写真も一緒に置くことができます。遺骨をお墓に入れるか自宅に持ち帰るか迷っている方は、納骨堂で1年ほど仮安置することも可能です。
自宅に安置する
亡くなってもいつもそばにペットといることができ、納骨料や管理費がかからないことがメリットです。
「写真や花・思い出の品・好きだったフード」など、好きなだけ供えられます。しばらく骨壺に遺骨を安置し、何年か経ったら遺骨をパウダー状にして「ペンダントやキーホルダーに入れて身につける」「散骨するという方法」もあります。
遺骨をパウダー状にして散骨する
遺骨をパウダーのようにして、ペットと一緒に旅行した思い出の地に散骨することも可能です。
住宅密集地や公園では迷惑になるので、「海や川・湖・山」に散骨することが基本です。散骨プランがあるペット葬儀社もあるので相談してみてください。
「飼い主である自分がなくなったとき、ペットと同じ地や海で散骨したい」という希望を受ける散骨専門の業者もあります。
ペット葬儀会社の選び方
ペット葬儀社は非常にたくさんあり、ネットで探すとたくさんのサイトが出てきます。信頼できるペット葬儀社は、どういった基準で選べばいいのか悩みますよね。
例えば他の人がよかったと言っても、残念ながら自分には合わなかったということも。ただ、「これだけはチェックしておきたい!」というポイントがあるので、参考にしてみてください。
自分の希望に合ったペット葬儀社を探す
「友達を呼んでセレモニーをしたい」「家に骨壺を置く余裕はない」「移動火葬車にお願いしたい」など、自分の希望や思いがあればそこから絞ることもできます。
ある程度絞ってから「料金・スタッフの対応」を見て決めていくようにしましょう。よさそうだと思っても対応エリアが異なることもあります。
料金体系がわかりやすく明示されているペット葬儀社
Webサイトにわかりやすい費用が書いてあること。「わかりにくい・料金体系があいまい」というペット葬儀社は追加オプションがありそうです。
特に「骨壺代・棺代」は料金に含まれる場合、別途請求される場合があるので確認しましょう。
見学に快く応じてくれる対応が親切なペット葬儀社がおすすめ!
どのような設備か?どのようなスタッフがいるのか?
ペット霊園の周囲の環境を知るためにも、事前に見学することをおススメします。
見学したいことを伝えたとき、快く応じてくれないペット葬儀社は見せたくない何かがあるかも!?見学を渋るところは候補から外してしまってもいいかもしれません。
また、スタッフの言葉遣いや質問への対応が丁寧なところを選びましょう。電話だけでも意外とわかるものです。「気遣いが感じられない」「気が合わない」と思ったら選ばないほうがいいかもしれません。
かかりつけの獣医さんに紹介してもらう方法も
かかりつけの動物病院によく相談していたという場合は、亡くなったことを報告すると同時にペット葬儀社のことも聞いてみてください。動物病院の先生からの紹介なら安心できます。
17歳で逝った我が家の愛犬も、かかりつけの動物病院で紹介してもらいました。先生のことが大好きだったので、愛犬もほっとして天国にいったと思っています。
ペット葬儀の費用相場
ペット葬儀の費用はいくらかかるのか?費用相場も調べてみました。
注意したいことは「ペットの種類」「大きさ・体重」「遺体を引き取りに来てもらうか」など、さまざまな条件で費用は変わるということです。例えば次のような要因で費用は変化します。
ポイント
- ペットの種類や大きさ
- 葬儀の有無
- 火葬方法「移動火葬車」「合同火葬」「一任火葬」「立会火葬」
- 埋葬・納骨方法
- お迎えの移動距離
- 骨壺や棺の有無(ペット葬儀社による)
ペット火葬費用の相場
動物・体重の目安 | 合同火葬 | 一任個別火葬 | 立会個別火葬 |
---|---|---|---|
小鳥・ハムスターなど(3㎏未満) | 5,500円~10,000円 | 13,000円~15000円 | 17,000円~27,000円 |
モルモット・フェレットなど(~3㎏) | 10,500円~15,000円 | 13,000円~17,000円 | 19,000円~29,000円 |
うさぎ・猫など(~5㎏) | 16,000円~20,000円 | 20,000円~27,000円 | 22,000円~37,000円 |
超小型犬(~5㎏) | 16,000円~25,000円 | 27,000円~30,000円 | 22,000円~37,000円 |
小型犬(5~10㎏未満) | 19,000円~30,000円 | 32,000円~37,000円 | 35,000円~42,000円 |
中型犬(~20㎏未満) | 23,000円~40,000円 | 37,000円~42,000円 | 39,000円~47,000円 |
大型犬(~40㎏未満) | 28,000円~60,000円 | 45,000円~50,000円 | 50,000円~53,000円 |
超大型犬(~45kg以上) | 35,000円~100,000円 | 50,000円~60,000円 | 58,000円~65000円 |
有名ペット葬儀社の特徴
有名な葬儀社は「イオンペット葬儀社・ペット葬儀110番・うたたね」の3社です。どのような特徴やプランがあるのか?対応エリアや営業時間などを調べてみました。
3社とも有名なので聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。気になるところがあれば、まずは問い合わせてみるのが一番確実です。
※調査は2019年3月時点
内容 | イオンペット葬儀社 | ペット葬儀110番 | うたたね |
---|---|---|---|
Webサイト | URL | URL | URL |
対応エリア | 全国の提携ペット霊園 | 全国の提携ペット霊園 | 関東一円および近県 |
対応時間 | 24時間365日 | 24時間365日 | 24時間365日 |
火葬スタイル | 火葬設備のある霊園 | 移動火葬車 | 移動火葬車 |
特徴 | イオンカード利用可。最大5,000円の御香料 | 深夜・早朝の火葬も対応。エキゾチックも対応 | 火葬車の祭壇で見送り可能。自宅用祭壇のオプションあり。料金はペット種ではなく体重で適用・ |
ペットが亡くなったらすぐにやっておきたいこと
ペットが亡くなったら遺体を傷めないよう早めに処置をします。死後硬直も思ったより早く来るので、棺に入らなくなる恐れもあります。早めに次の処置をしてあげましょう。
ペットの遺体に触るのはツライかもしれませんが、最期のお世話です。やさしく声をかけながらきれいにしてあげてください。
そして、体が固まってしまう前にペットをリラックスした体位にしてあげます。自然な形で足を曲げておくと棺に入りやすくなります。目や口が開いていたら、そっと閉じてあげましょう。
その他
- 1毛並みはブラシで整え、体の汚れはガーゼやタオルを使って清めます。汚れがなかなか取れないときは、ぬるま湯を絞ったガーゼを使ってください。
- 2括約筋がゆるみ、排泄物が出てくることも。体の下にペットシーツを敷いておきましょう。肛門に脱脂綿やコットンを入れておくと便が漏れにくくなります。鼻や口からも体液がでてくるので、脱脂綿をいれてあげしょう。
- 3夏場は特に注意して、エアコンが入った涼しい部屋に安置してあげてください。できれば温度は低めに設定しましょう。保冷剤やドライアイスを体の周りに置けば、腐敗を遅らせることができます。
- 4ダンボールや棺に入れるときは、体液が染みないようペットシーツを敷き詰めその上にタオルなどを敷いておきましょう。そこにペットを安置します。箱がなければバスタオルの上に寝かせておけば大丈夫です。
- 5好きだった「おもちゃ・お花・フード・ペットへの手紙」などをお供えして、時々話しかけてあげましょう。
大切なのはペットを見送る飼い主さんの気持ち
いつかはやってくるペットとの別れ。日頃のお世話だけでなく、天国までしっかり見送ることも飼い主さんの役目です。
葬儀などのセレモニーを行うことは、気持ちが落ち着きペットロスから回復しやすいというメリットもあります。 (参考:ペットロスの乗り越え方)
とはいえ、ペットが亡くなると気持ちが動転して冷静に判断できない可能性があります。その点、信頼できるペット葬儀社に頼めば、ある程度お任せできてスムーズに進行します。
ペット葬儀社はあわてて探すよりもペットが元気なうちから探しておきましょう。お住まいの自治体にも忘れずに問い合わせてみてください。
費用がわかっていれば、あらかじめ用意もできますし、お値段にびっくり!ということも避けられます。
一番大切なことは、たくさんの費用をかけなくてもムリに葬儀をしなくても、ペットへの「ありがとう」「だいすきだよ」という飼い主さんの思いです。